2025.12.10 岡山航路 NEW

「おりんぴあ どりーむ せと」が世界初の自動運航の船舶検査証取得！

両備グループ
CEO 小嶋光信

 

本日は、両備グループの客船フェリー「おりんぴあ　どりーむ　せと」による、世界初の旅客船による自動運航実証実験の結果発表にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 

この6月から実施してきた実証実験が無事に終了し、12月5日に「旅客フェリー(自動運航システムを有する船舶)」として船舶検査証書も交付されたことを大変嬉しく思います。この世界で初めての成果は、日本財団をはじめ、プロジェクト参画企業の皆様のご支援とご協力の賜物であり、改めて深く敬意を表します。

 

今回、小豆島航路という離島を結ぶフェリーで自動運航を実証できた意義は非常に大きいものです。浅瀬が多く水路が複雑な児島湾での航行、養殖いかだや底引網の存在、航路を横断する船舶など、難度の高い環境で良い成果を得ることができました。日本は離島が多く、船員不足や島民減少により航路維持が難しくなることが見込まれています。自動運航技術の進化は、その解決に欠かせない重要な取り組みです。

 

今回の実証は技術検証にとどまらず、海運の新たな時代の幕開けを示すものです。自動運航は、安全性の向上、海難事故の削減、労働負荷の軽減という大きな価値をもたらします。今後の商業運航の実現に向けて、さらなる実証や制度整備へ大きな一歩となりました。

 

国際ルールの整備、港湾インフラとの連携、運航情報システムの健全性確保など、課題は多くありますが、一つひとつ着実に取り組むことで、日本発の技術として世界へ発信し、国際競争力を高められると確信しています。

 

私たちは、この技術を単なる効率化ではなく、海運業界全体の安全性と信頼性を支える基盤として育てていきたいと考えています。従って、すぐに船員の減少につながるのではなく、しばらくは船員による運航を安全・安心にサポートする役割を担っていくと思います。将来的には、AIやIoTとの連携により高度な運航管理が可能になり、海上輸送の姿そのものが大きく変わるでしょう。この挑戦は一企業だけで成し遂げられるものではなく、業界全体、そして国際社会との協調が不可欠です。私たちはその先頭に立ち、責任を持って社会実装を進めてまいります。

 

最後に、今回の成果はゴールではなく、新たなスタートラインです。ここから始まる新しい航海を、皆様とともに歩んでいけることを心から楽しみにしております。今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

本日は誠にありがとうございました。